介護保険制度は2015年で施行15年目の節目となる。法施行15年を振り返り、その現状と課題を見据えながら、将来展望を示すことが、本稿の目的である。介護保険制度は、要支援や要介護認定者・利用者が増え続け、第5番目の社会保険として定着した。その反面で、財政問題が課題となっている。また、今後10年間の急速な高齢化を受けて介護需要の増大への対応も迫れている。このような状況のもとで、制度改正が進められているが、社会保障・税一体改革の重要な柱として掲げられた医療・介護の一体的見直しの中で進められる介護保険制度関連の改正は、介護保険の本質を転換する方向で進んでいるよう見受けられる。一方、介護給付費の膨張に関連する介護保険の構造的問題への対応については手がつけられていない。今後の制度改正では、制度の構造的問題への対応が急務である。