本研究では大学生にとって動機付けの高い就職活動の場面を用いて、自己呈示方略の使い分けについて検討した。エントリーするいくつかの部門に提出するエントリーシートに記入する際、我々は部門やその場の規範によって呈示したい自己のイメージや呈示する程度を変化させるという仮説のもとに調査を行なった。その結果、エントリーする部門によって呈示したい自己のイメージは異なっていた。また呈示する内容によってはその場の規範にただ従っているのではないことが明らかになった。これらの結果は、我々は相手の求めるものに応じて、かつその場の規範も考え合わせて自己を呈示していること、さらに、呈示したい内容との関わりにおいても柔軟に対応していることを示した。