島根における地域経済をいかに発展させるべきかについて、これまでにもさまざまな議論や取り組みが行われてきている。ただし、それは地方拠点都市整備や中海連環都市圏構想などに見られるように地域経済圏において都市機能を充実していき、それを圏域全体に波及させていくという考え方を軸とした計画や構想である。
こうした考え方にもとづいた計画や構想がたいせつであることはいうまでもないが、ここでは地域産業をいかに発展させるかということを直接的に取り上げることにする。いわば、産業論的視角から地域経済の発展を考えるというものである。本稿の課題は、島根地域産業の現状と地域産業政策のあり方についての試論を提示することである。
以下では、まず第1に、2010年に向けての島根地域経済の課題といくつかの地域経済圏構想の特徴を提示する。第2に、島根地域産業の現状と地域産業政策のあり方について説明する。そして第3に、島根地域産業政策の重点の一つであるソフトビジネスパーク構想の紹介と若干のコメントを行っていく。