いろいろなスポーツの種目において,体格(身長・体重)の優劣がその成績(記録)を左右する要素となることが少なくない。
このことについて著者は,昭和51年度島根県教育委員会が県下の小・中・高等学校児童・生徒を対象に実施したスポーツテスト資料を用いて,身長・体重がその記録に影響を与えている種目を明らかにし,「スポーツテスト種目の身長・体重別標準値表」を作成し報告した。
同じように走力(スピード)が多くのスポーツ種目において,その成績(記録)を決定する重要な要素となっていると考えられる。
特に陸上競技の種目において,その関係はさらに深いように思える。
そこで,本研究では陸上競技の走幅跳について,このことを明らかにするため,島根県下の小・中・高等学校の児童・生徒を対象として,50m走と走幅跳の記録を測定し両測定値間の相関について調べた。
さらに,これをもとに回帰を用いた統計的処理によって,50m走力に対応する走幅跳記録の標準値を性別,年令別に求め5段階標準値表の作成を試みた。
この標準値表にって,各自の測定値をそれと比較することによって,5段階評価のどの評価区分帯に属するかを簡単に見出し,まず他人との比較でなく自分自身の現在もっている走力が生かされた跳躍であるか否かの観点からポイントを把握させることによって,走幅跳に対する興味と努力目標をもたせ,積極的,意欲的な取組への大きな動機づけとなると考える。