島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学

ダウンロード数 : ?
島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学 3
1970-02-28 発行

自動車の高速運転にともなう乗務員の心理的生理的負荷に関する一研究 : 東名神高速道路と一般国道との比較を中心として

A Study of Psycho-Physical load in High Speed Driving : In the Case of Express way and Common way
西山 啓
ファイル
内容記述(抄録等)
 本研究は,自動車の高速運転時における運転者の心理的生理的負荷について,実態測定を中心とした,実験結果の報告である。
 測定は,一般国道および高速自動車道路を走行するバス運転者および一般国道を制限速度以上で走行が可能な緊急自動車の乗務員を中心に行なった。
 その結果
 高速道路において75~80㎞の速度を主体として走行するかきり1時間程度の運転による生理的心理的負荷は,それほど大きいものではない。一般国道通行の場合とくらべとくに顕著な差異はみとめられない。
 一般国道を走行する緊急自動車の乗務員の生理的負荷は本実験結果のしめすかぎり一般自動車の乗務員にくらべてとくに差はない。この原因は緊急自動車乗務員の身体的条件,年令等によるものと考えられるが,今後測定数を増加させ,更に分析をすすめたい。
 走行中の心膊数の増加は,速度の増加に比例するが,みとおし不良の個所,トンネル通過,交通渋滞,歩行者等,道路環境が変化することにより,速度とは関係なく増加する。
 この事実は運転者の心理的緊張が,心膊数の変化にきわめて密接な関係をもち,心理的生理的負荷を増加させるものとおもわれる。