「子どもの生活がおかしくなっているのではないか」と小中学校の教師のみならず保育所や幼稚園の教師からも語られだしてから久しい。非行の蔓延化や低年齢化および最近の子どもたちの体のおかしさは生活のおかしさと関わっているのではないかという報告もなされている。
城丸章夫が子どもの生活リズムはおとなの生活リズム(労働から生まれたリズム)であるから,両親がどの様な家庭のリズムを作って生活しているかが大事なのだと述べているように,子どもの生活リズムがおかしくなってきているのはおとなの生活リズム自身が崩れてきているからであり,子どもの生活リズムの乱れや体のおかしさはおとなが作り出したものといえる。
また.食生活調査においては,誕生をむかえるかいなかの乳児にチョコレートやラーメンを食べさせていたり,2,3歳児が清涼飲料水や炭酸飲料水の缶を抱えていたり,インスタントコーヒーが幼児に一人前に容れられていたりと大人と子どもの境がなくなりつつあると報告されているように,反面,子どもが子どもであるが故に守られねばならない生活が保障されていないとも言える。
職業を持つ母親が増えていること,世の中の生活のスピードが早くなっていること,そのことが他者への思いやりより自己を主体にして生きる生活像になっていること,家庭機能を代替する産業が発達したことにより時間をお金で買う生活(消費生活)が普通になったことなど様々な要因が複合してこうした現象をもたらしているのであろう。
家族は,夫婦と未婚の子どもからなるもうこれ以上分解できない集団(核家族という)が基本であるといわれているが,核家族においては,構成メンバーに与えられた役割を代替する者がいないという欠点や相互作用の凝集度が低くなりやすいことから,家族が小さくなればなるほど崩壊し易いといわれている。それ故,こうした様々な要因はどちらかといえば夫婦と子どもで構成される家庭(核家族)により強く影響を及ぼすのではないかと考えられる。そこで,本報では子どもの生活リズム,しつけおよび食生活に家族がどう関わっているかを明らかにし,家族構成が子どもの生活に影響する要因の一つであるか検討を行う。