島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 30
1996-12-27 発行

公民館の運営と事業に関する実証的研究 : 島根県公民館調査を手がかりに

A Research on the Management and Project of Citizen's Public Hall(Kominkan)
清國 祐二
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内容記述(抄録等)
 島根県における公民館調査は昭和59年以来数次にわたって行われている。そこでは公民館の職員体制とその処遇,事業予算とその内訳,事業および業務内容,利用団体等の詳細なデータが収集されている。データ分析の結果をまとめると,以下のようになる。
 ①公民館経営の基盤を職員体制と事業予算から診断し,職員体制の不十分さと予算の脆弱性を指摘している。
 ②公民館は社会教育関係団体および地域の他の団体の活動の拠点となっており,1館あたり10を越える団体が登録されていることが明らかとなった。公民館事業の展開にとって,それらの団体との連携は不可欠であるが,事務局や会計の業務を公民館職員が負担することへの問題が提起された。
 ③公民館における学級・講座を中心とした事業の数,内容,対象および開催回数の調査から,島根県の公民館事業の特徴が,趣味・教養型で,婦人と高齢者を対象とした学級・講座が大半を占めていることが明らかとなった。さらに,それらの多くは継続性や体系性に乏しい講座であることが報告されている。
 ④公民館を利用している学習者を中心に学習二一ズ調査を行った結果,全体的にみて趣味・教養的な学習やスポーツ・レクリェーション的な活動に要求が集中していた。続いて,地域課題やボランティアヘと関心が向き,壮年以降の年齢層にこの傾向が強いことがわかった。学習者の公民館への期待には地域課題への取り組みやリーダー養成,ボランティア養成などがかなり高くなっていることが注目される。
 これらの課題を受け,今回は,公民館運営の形態と事業展開に多大な影響を与える公民館運営審議会と運営委員会の実態と課題,公民館事業の推移を分析するための調査を実施した。
NCID
AN0010792X