島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 26
1992-12-25 発行

大学生の体育実技に対する態度

The Attitudes of University Students toward Physical Education Activity
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内容記述(抄録等)
 癌や,心臓病,脳血管疾患といった成人病の予防に対する運動の効果が広く一般に知られるようになった結果,今日,健康のための運動に対して多くの人々が注目している。様々なスポーツクラブや運動施設が人々で埋め尽くされていることからも人々の関心の高さを知ることができよう。しかし,運動が健康に及ぼす効果(肥満の防止,高血圧の予防等)は知っていながらも,自分では運動を行えずにいる人も多いようである。これらの人々が運動を自発的に実施するようにはたらきかけることは,運動のための環境を整えることと共に重要であると考えられる。ではどの様なはたらきかけが効果をあげるのであろうか,自発的に運動しているかどうかは過去の運動部参加経験の有無と大きな相関があることが報告されている。これは,運動部に参加して,運動の技能や実施するための態度が養われたためではないかと考えられている。人の運動に対する態度はおおむね好意的であると言われており,運動をとくに避けている人は少数である。日常特に運動を実施しておらず運動に対する態度が比較的非好意的な人も,運動を実施することによって運動に対する態度が好意的に変化したという報告もある。このことから,学生時代に定期的に運動を実施することには,社会に出た後も運動を自発的に実施し,継続していくうえで大きな影響をもつと考えられる。その点において社会に出る直前の大学,高校における学校体育実技の果たす役割は特に大きいと考えられる。
 ところで,大学における一般体育は設置基準の改訂などにより各大学独自のカリキュラムによる自主的なものへと変更されつつある。これにともない,現在の大学の一般体育のあり方を見直す必要に迫られている。見直しのための視点としては様々なものが考えられるが,まず学生自身が現在の大学の一般体育に対してどの様な態度をもっているのかを把握することが改革を考える上で重要であると考えられる。そこで,今回は大学の体育の授業,特に一般体育の実技に対して学生がどのような態度をもっているのかを明らかにし,さらに同様受講してきている高校の体育の授業に対する態度と比較することによって,大学の一般の体育実技の特徴及び問題点を探り,内容,実施の方法等について考えるうえでの資料としたい。