工業高専の第1学年の学生が図学について学習する場合に,学習者のほとんどが初めて経験する学問である。
また,図学に関する既習の幾何学的知識や学習者の認識・理解の能カも決して十分なものとはいえない。
こうした初心者の図学指導に当っては,教授・学習上の種々の課題を解決し,効果的な授業展開を進めるための指導方法の開発が望まれる。そのためには,図学教育の現状及び学習者の図学に対する認知的能カや技能,情意的傾向などの実態をも十分に把握しておく必要がある。
筆者らは,そうした基本的な観点にたって,指導方法の改善の一つの方向性を考究しようとして,図学指導に関わるいくつかの実証的研究を試みてきている(1)-(5)。
そうした研究の一環として,先の報告(3)の中では,初めて経験した図学学習を通して,高専生が示した図学に対する態度について,数学に対する態度との関連性をみながら,学習進度の比較的初期の段階で分析し,その検討結果を報告してきた。
本稿では,先の報告(3)と同一の高専生を被験者にして,図学の履修期問がほぼ終了する時期の,図学に対する態度について調べ,さらに学習の進展および図学学力の変化に関連する図学に対する態度の変容についての検討を試みる。