島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 13
1979-12-25 発行

フランダース授業分析法とTRR

FIACS and TRR
野津 良夫
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内容記述(抄録等)
 授業というものは,教師と生徒との相互作用の上に成り立つとは言いながら,教師の生徒への影響の仕方は、とくに重要であり,かつ状況により微妙な意味をもっている。授業がただ教師の意図する知識技能態度を,生徒に伝達し習得させるだけにとどまるならば,講義および指示や批判などの直接的影饗だけで充分であろうが,生徒のアイデヤを認めかつ利用し,学習への意欲を高めるような間接的影響の乏しい授業からは,自主的にものを考えたり創造的な思考をはたらかすような行動は期待できないであろう。
 授業における教師の直接的影響,間接的影響あるいは柔軟性などの概念を導入し,実際の授業における相互作用の観察結果と学習結果との関係を究明したり,また教育実習や現職教育にこの分析法の学習を織りこんでその改善の上に成果をあげて最も注目されているのは,Ned A. Flanders の相互分析カテゴリーシステム(FIACS-Flanders Interaction Analysis Categories System)といわれているものであるが,これはまた,授業分析法と教育工学的手法との緒合の上でも,きわめて生産的な示唆に富むものである。
 これまでの授業研究では,直接観察のほかに,録音録画を通じ,うず高い授業記録の作成をしたが,その努力そのものは今後も尊重すべきものであるにしても,これを行動科学的概念によって整理したり,その研究の過程に教育工学的な機器や施設を利用するという努力はあまりしなかったのではあるまいか。その点フランダースの分析法は,比較的容易に習得しやすく,ビデオ,閉回路テレビ,コンピューターなどの教育工学的施設との結合の可能性が大きく,場合によっては,指導者にたいして、授業直後のフィードバックの可能性ももっている