島根大学教育学部紀要. 教育科学

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島根大学教育学部紀要. 教育科学 1
1967-12-28 発行

英文読解指導の一考察

On Developing Reading Ability in English
大上 寛親
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内容記述(抄録等)
 読解という知的作業を行なうためには,語いカ,文法カなどが必要であることは論を待たない。多くの教室において,単語,熟語,文構造の解剖,和訳といったようなことに重点を置いて読解指導がなされている。また中学校の段階では,非常な流行をみた文型練習に必要以上と思われる程の時間を注入している場合も多い。これらのことは適切に扱うなら,読解のみでなく,3領域(4技能)全体の熟達に役立つものである。しかし,語い,文法,文型の指導だけでは真の読解能カを養成するのに足りないものがあるように思える。この小論では、読解指導に焦点を合せて,従来の指導法でややもすると忘れられていた点について考え,またJ.S.Bruner の "The Process of Education" が出版されて以来ブームを招来した構造化理論の適用の一試案を示そうとしたものである。教育課程の構造化という大きな仕事は広い領域にわたる専門家の頭脳を必要とするものであるが,以下述べることは構造化の理論を英文の読解という1つの小さな領域に当てはめて考えたものであり,また幾多の問題点も未解決のままである。自然科学の分野では,既に構造化の具体的な仕事に着手しているが,人文科学では,その性質上大きな困難があるため,立ちおくれている現状である。しかし,今や教育改革ということは世界的になり,わが国もその例外ではない。英語教育では最近の構造言語学の発達で,教材や教授法も改革されては来たが,構造化という点ではまだ暗中模索と言えるかも知れない。どの程度に構造化されるかということも想像の域を脱してはいない。しかし,いくら困難な仕事とはいえ,とにかく着手しなければその目的は達成できない。この意味で,英文読解という狭い領域ではあるが,構造化ということを考えてみるのも無駄ではないであろうし,更に一歩一歩他の領域へその手を伸ばす階段にもなるであろう。
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