島根大学論集. 教育学関係

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島根大学論集. 教育学関係 3
1953-03-15 発行

問題解決の指導仮説 : 数学的解決の構造に拠る

Hypothesis upon the Instruction in Ploblem Solving : Based on the Construction of Msthematical Solutions
三浦 泰二
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内容記述(抄録等)
思考を育て知性を高めゆく創造的経験は、問題解決の研究活動において最もあらわに見ることが出来る。生徒は問題に直面してこれを解決しようとじつくり考え、斯々の方法でやれば解決できるだろうと構想してこれを試行するのである。一度でうまく成功すればそれで解決される、もし失敗すればさらに考え直して訂正するか若しくは新しい構想を立てて再試行するのである。これを成功するまで続けゆくのである。
 今一層くわしく考究を進めて見ると、生徒が問題を見つけて興味深く解決に努力する研究活動は、およそ次の三つの段階を経て解決に到達するものと見られる。
 一 問題の理解と表現 ここでは問題を正視してその全容を理解しその要点を写し表わす活動が主である。
 二 解法の工夫と実行 ここでは解決を構想してその理路を工夫しその方策を推し進める活動が主である。
 三 結果の反省と洗煉 ここでは結果を反省してその解答を確立しその結論を磨き上げる活動が主である。
 而して研究活動の内面に絶えず働くものは考えぬく力であり、一歩一歩と前進させるものは見ぬく力である。これらは全段階の凡べてを通じて各段階の細部にわたつて働くのである。
 このような三段階の過程は、問題解決の研究活動にはすべて見ることが出来る。数学科においては勿論、理科においても杜会科においても他教科においても、その他の問題においても大体同様である。
 子供の問題解決活動を如何ように指導してやればよいかについて、数学的解決の構造を究明しつつ、それに拠つて仮説を立てて見よう。