島根大学論集. 教育科学

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島根大学論集. 教育科学 16
1966-12-25 発行

消費者保健に関する基礎的研究 : 一般医薬品利用の状況と認識に対する実証的検討

A Basic Study on Ccnsumer Health
和唐 正勝
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内容記述(抄録等)
今日,消費文化の発展に伴ない,消費者保健(Consumer Health)の必要性が各方面において増大している。特にその中で,一般医薬品利用の面は、「国民保健」「個人衛生」等に直接関連を持ち,時には生命の問題にまで発展する可能性を有するので,その重要性はとみに高まっている。
 我が国の現状では,一般医薬品の増産とその販売路の拡張とあいまって,広告・宣伝も新聞・ラジオ・テレビ等のマス・メディアを利用して極めて活発に行なわれている。更に,それ等の購入と使用の状況をみても,我が国は諸外国に比して極めて容易であり,使用制限も殆んど行なわれていない。
 しかも広い観点からみて,健康教育の分野において重要視されなければならない,医薬品に対する消費者の知識。理解並びに認識に関する教育・指導は等閑視され,消費者は営利的製薬企業の一方的な広告・宣伝等のマス・コミによって,その知識の大部分を得ているような傾向が強いと思われる。医薬品広告の虚偽・誇大が問題となっている現在,そのため自からの健康・身体状況とは必ずしも適合しない,誤まった使用が行なわれる可能性が大きい恐れも認められる。それ故,消費者の一般医薬品に対する認識の実態を把握することは,消費者保健上必要不可欠なものとなっている。
 消費者保健の進んでいる米国ではすでに,H.E Kilander,R.J.Synoviz,H.E.HillefoeやG.J.Dzenowagis等によって,これ等の実態調査が行なわれ,医薬品に対する誤まった認識の存在することが指摘されている。これ等諸論文は認識の実態のみで,実際の利用実態にまで言及していないといううらみはある。しかし,我が国では認識の実態の把握すらも殆んどなされておらず,誤まった認識や使用の存在の指摘もただ単に経験的になされているにすぎない。
 本研究では,健康教育の一分野として,一般医薬品に対する消費者の利用状況と認識の実態を知ると共に,それ等に対して健康教育がどのような影響を与えているかを知ることを目的として,質問紙調査法により横断面的研究を試みた。