Memoirs of the Faculty of Literature and Science, Shimane University. Natural sciences

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Memoirs of the Faculty of Literature and Science, Shimane University. Natural sciences 7
1974-03-10 発行

地学試料の電子顕微鏡的観察(その1) : 石英砂粒の表面構造

Electron Microscopy of the Geologic Materials(Part 1) : The surface textures of quarz sand grains
Okubo, Masahiro
Monodane, Shigeharu
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 堆積物を構成する粒子が,運搬過程や堆積場所によって,表面構造や外形に差異を生じるであろうことは,充分に期待されるところである。故三位秀夫博士は,多年にわたる現世堆積物および海岸地形の研究,とりわけ砂丘に関するそれらの研究をつうじて,構成物質の由来を明確にするために,砂粒とくに石英砂の微細表面構造に注目するに至った。そして,松江・出雲近辺の現世砂丘砂,第四紀の風成砂などを採集して,水成砂との比較を行ない,それらの表面構造を電子顕徴鏡で観察した結果,石英砂の表面に見られる割れ目模様や溝模様の発達状況にいくつかの型があり,それぞれ異った成因を現わしているものと推論するに至った。すなわち,次のように述べている:「石英粒の表面構造として,水成砂では,鮮明な溝(巾O.5μ~4μの三角溝・楕円溝など)が密集して発達し,風成砂では不鮮明な不規則な凹凸や樹枝状溝によって特徴づけられる。石英粒を実験的に浸食すると,水中では各種の溝が発達し,空中では滑らかな表面になる。溶食させると不規則な凹凸などが現われる。」
 この研究は,同氏の急逝(1970)によって中断されたが,その所論は協力者の手によって,遺稿集の中にまとめられている。
 筆者の一人,大久保は島大地学教室に着任して以来,同氏の研究遺品を折にふれて調べてきたが,砂粒表面の研究に使用された電顕用シートメッシュがそのまま保存されていることを知ったので,その追視を思いたった。というのは,前記遺稿集に掲載された写真は,電顕写真としては余りにも粗雑すぎるため,同氏の折角の研究が充分に報いられていないと考えたからである。
 従って,本論文は,同氏が作成した同一シートメッシュについて再検討した結果を述べたものである。なお,筆者の一人物種は卒業論文作成の一部として,この研究に協力したものである。
NCID
AN0010806X