島根大学論集. 自然科学

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島根大学論集. 自然科学 6
1956-02-21 発行

磁場の精密測定(II)

The Precise Measurements of Magnetic Field
Takemoto, Susumu
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 近代精密科学の急速な発展のために物性研究の測定装置も亦高度に精密化せざるを得ない。而して此等の研究に當つて強大な磁場或は極度に均一な磁場を絶対的に必要とする場合が屡々起きてくる。Nuclear magnetic resonance absorption を測定して物質の色々な性質を論ずることは数年来盛に行われて来た所であるが,このためには可成り広い範囲に亘つて非常に均一な磁場を必要とする。
Nuclear magnetic resonance absorption が物性研究に於て持つ意義は非常に重大であり,次に述べる様な Resonance の特性を測定解明するに在る。
 即ち Spin-spin 及び Spin-lattice relaxation time, Resonace の波形及び巾,此等の温度に依る変化,叉核の周囲の電子の磁気遮蔽作用に基づく Resonace shift 等を測定することが其の重なものである。此等の量の数値の決定には高周波の周波数を精密に測定しなければならないから,これには周波数標準として標準電波と精密周波計が利用される。
此等の要求のために筆者は先に均一磁場発生用小型電磁石と Pound-Knight 型電波分光器を製作して各種の実験に供して来たが尚不充分な点が多いので此の度周到な設計の下により優良な材料を用いて稍々大型の”熊谷型電磁石”を製作した。然し二三の不可避的な制約のために充分満足出来るとは云い難いのであるが,其の性能に就いて述べることにする。
NCID
AN0010814X