はじめに
Ⅰ 心理的障壁論とは何か
1 心理的障壁論の援用
2 心理的障壁が阻むこと
(1)殺人行為に出ること
(2)殺人の故意をもつこと
(3)殺人の故意を認定すること
3 心理的障壁論の問題点
(1)ドイツ刑事訴訟法典261条に関する問題
(2)心理的障壁論の援用上の問題 (以上、60巻1=2号)
Ⅱ 故意の認定に要求される事実
1 本章で取り上げる事実について
2 客観的危険性からの推論と両立しない事実
(1)動機
(2)人格・被害者に対する従前の態度
(3)行為後の態度
3 客観的危険性からの推論ができないことを示す事実
(1)突発的に行為に出たこと、興奮状態に陥っていたこと
(2)アルコールや薬物の影響、精神障害
(3)人格的未熟さ等
4 客観的危険性からの推論に影響する事実
(1)行為態様
(2)結果の大きさ
ドイツ連邦通常裁判所の殺人の故意に関する
「抑制をかける心理的障壁論」と故意概念(3・完)
大 庭 沙 織
ドイツ連邦通常裁判所の殺人の故意に関する「抑制をかける心理的障壁論」と故意概念(3・完()大庭) 83
(3)行為の危険性を低く推認させる特別な事情
(4)行為に対する被告人の認識(以上、62巻2号)
Ⅲ BGH判例の近年の傾向
1 2012年判決(BGH, Urt. v. 22. 3. 2012 – 4 StR 558/11)
2 学説による2012年判決の理解
3 2012年判決以降の変化
(1)故意の認定方法の変化
(2)事実審へのBGHによる介入の変化
Ⅳ 心理的障壁論と故意概念
1 実際の心理状態としての故意の理解の貫徹
2 心理的障壁と故意非難
3 心理的障壁論と熟考という心理的事実
おわりに(以上、本号)