Memoirs of the Faculty of Law and Literature

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Memoirs of the Faculty of Law and Literature 24
1995-12-25 発行

現代英語における原形不定詞補文の分布とその受身文の特徴について

On the Distribution of Bare Infinitive Complements and Some Features of their Passive Equivalents in Modern English
File
a0030024h011.pdf 2.53 MB ( 限定公開 )
Description
本稿では,原形不定詞を補文にとる動詞群,すなわち一連の知覚動詞や使役動詞,さらに,特に米国語法で一般的であるhelpを取り上げ,現代英語における原形不定詞補文の分布について再確認すると共に,各動詞について,to不定詞を従えた受身文が可能か検証し,その受身文の特徴を考察していきたい。
 英語の歴史の観点からすると,古英語後期から中英語期には補文に原形不定詞をとる動詞群は現在よりもかなり数多くあり,また,逆に,現代英語においてはmakeなとのように補文にto不定詞をとらないものについても,to不定詞が後続している例が散見されたり,原形不定詞構文とto不定詞構文が混在し,構文が安定していなかった。しかし,時代を経るとともに,to不定詞が次第に浸透していき,現代英語では,補文に原形不定詞をとるのはいくらかの動詞群に限られ,有標な言語表現となって現在に至っている。具体的にどのような動詞がこうした構文をとれるかについては,断片的に各文法書や辞書なとから情報を得ることができるが,本稿ではそれらをできるだけ網羅的に扱い,この構文のもつ本質的な意味合いと併せて可能な動詞の種類を考察したい。
 さらに,本稿では,対応するとされるto不定詞を従えた受身文について考察し,その統語的並びに意味的特徴を記述していき,知覚動詞の受身文については,知覚のあり方の観点からこうした諸特徴を再考したい。使役動詞の受身文についても,letに関する容認度の問題や,特にmakeの場合について詳しく扱い,「使役の主体」と「使役の対象」の関係を考慮して,資料を広げ,その使用域を記述すると共に,その容認度について,受身文全体の制約といった観点から幅広く見直していきたい。
 最後に,共通の問題として,これらの受身文に現れてくるtoが,共時的にとのような文法的位置づけができるか論じていきたい。