本稿は、在宅ホスピス・緩和ケアの先進事例である宮城・福島両県の在宅療養支援診療所を利用した患者遺族を対象とした調査の結果をもとに、在宅療養の継続と中断とを左右した要因を検討するものである。これらの診療所は、国内ではいち早く、在宅での緩和医療はもちろん、患者と家族のQuality of Life(QOL)の維持向上のため、介護やソーシャルワークにも力を注いできた。こうした「みやぎ方式」に端を発する先進事例にあって、在宅療養の中断をしたとの回答は14.1%であった。これらの在宅療養を中断したケースの場合、中断の意向は患者本人よりも同居家族から相対的に多く出されていた。さらに、回答者である主介護者は、在宅療養の中断の理由として、不安に関する項目を多くあげており、その割合の高さは、介護負担を理由とする回答を上回っていた。今後、終末期がん患者の在宅ホスピス・緩和ケアにおいて、不安への対応が一層重要性を増すものとが考えられる。