中国では、2010年代よりアリババ社の「淘宝」を中心にEコマースが急進し、農村部地域に多大な利益をもたらした。その一方で、Eコマースの展開とともにさまざまな課題も生じた。流通販売領域におけるデジタル化の急進を背景に、中央政府は情報技術戦略を農業・農村に接近するように政策転換を行った。中央政府は農村のデジタル化の推進と同時に、市場の規制もできるように、「デジタル農村」という新たな戦略を作り出した。
本稿では、「デジタル農村」をキーワードに、中央政府の政策の流れを整理し、政策転換に至るまでの経緯と中国の農村部地域における「デジタル農村」戦略の背景を考察する。