Journal of economics

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Journal of economics 44
2018-03-29 発行

待機児童対策を考える ― 鳥取県伯耆町の家庭保育支援の検討 ―

A study on the Waiting-List Child Policies : Cash Benefits on Town of Houki in Tottori Prefecture
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 保育所の増設などさまざまな施策が講じられながら、いまだに待機児童を解消できない現状にある。本研究の目的は、待機児童問題を需要側と供給側双方から考えるとともに、育児に関する他の制度との関連も分析し、待機児童問題を解消するための政策的支援の在り方を検討することにある。とくに待機児童対策のための「家庭保育支援」に着目し、家庭で0歳児の保育をしている保護者に対し、手当を支給する経済的支援の効果を鳥取県伯耆町のケースから考察した。
 伯耆町の乳児家庭保育支援手当の事例でみると、保育所入所のニーズの高まりとは裏腹に、3 歳まで家庭内で保育を希望する親は多く、家庭で0 歳児の保育をしている保護者に対する経済的支援は、家庭保育の支援につながり、少子化対策にも有効である可能性が示唆された。まず重要であるのは、家庭での子育てを希望する親が安心して家庭で子育てをできることであり、そのために、経済的支援等で家庭での子育てを社会的に評価し、保育施設に入所するときには、スムーズに入所できるような仕組みを構築することであろう。待機児童対策のために低年齢児には家庭での子育てを中心とし、1 歳児以降は保育所で対応するという役割分担の検討が望まれる。
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