Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University. Natural science

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Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University. Natural science 22 2
1988-12-26 発行

水中翼船用ウォータージェット推進装置のまわりの流れの解析(第一報) : 解析法の基礎的考察

On the Analysis of the Flow Around a Waterjet Propulsion System of Hydrofoil Craft (1st Report : Basic Study on the Flow Analysis)
Sakao, Minoru
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 ウォータージェット推進装置(以下WJと略記する)は船底突出物が少ない。高速艇の場合は船底突出物による付加抵抗が全抵抗のかなりの部分を占めるのでWJは本来高速艇に適した推進装置であり高速船に多く用いられている。WJはこの他にキャビテーション等による水中騒音の発生が少ないとか,操船が容易である等の利点を持っているが,反面推進効率がダクト内のエネルギーロス等により通常プロペラに較べて小であり,またコストが高く保守が困難である等の欠点も持っている。
 さてWJの抵抗とか推進効率の向上をはかるには,そのまわりの流れについての知見を高めることが必要であるがWJのまわりの流れ全体を統一的に検討した研究は見当たらない。このような観点から本論はまず水中翼船用のWJを取り上げてそのまわりの流れ全体の解析法について基礎的な検討を行なったものである。なお本論で特に水中翼船用WJを取り上げたのは次の理由による。他の形式のWJの場合には主船体とWJのまわりの流れが互いに干渉して流れの解析が複雑になるとともに,WJの性能のみを分離して論ずることが無理になる。これに対して水中翼船用WJの場合は両者の干渉が比較的に少なく両者のまわりの流れを切り離して夫々を独立に解析しても差し支えがなく流れの解析が簡単となるためである。
 本論の流れの三次元解析においてはダクト内外の流れを,インペラの渦部以外は非回転流れで近似した場合について,流れの一般的表示式を説明するにとどめた。この流れの表示式はいくつかの未知量を含んだ形で示されており,この未知量は境界条件を満たすように定めねばならぬが未知量の決定法の具体的検討は行なっていない。また本論の解析では計算を簡単にするためWJのまわりの流れに対して次のモデル化を行なった。
1)流体は完全流体とする。
2)インペラ翼数は無限大とする。またインペラ束縛渦の大きさは半径方向,周方向ともに一定として自由渦は翼先端と軸中心のみから流出する。また翼先端自由渦のピッチは一定とする。
3)インペラ後方にはステーターはないものとする。
 なお本論で使用した主な記号の説明は末尾にまとめて示す。