本実験は,有意味図形による誘導運動に個体発生上再体制化があるのではないかという予測を裏付け,その体制化を規定する「概念枠」の成立時期がいつかという問題を検討する目的で行なわれた。結果は,水平方向の運動に関しては,6歳と7歳の間で誘導運動の再体制化があること,上昇方向では少くとも5歳では誘導運動を知覚していることを示した。また,包囲図形による強いゲシュタルト場における誘導運動は,既に4歳ではっきりと知覚できていることが示された。再体制化の時期が運動方向によって相異するという結果について,二,三の可能性が示唆された。