島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学

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島根大学教育学部紀要. 人文・社会科学 19
1985-12-25 発行

アメリカ英語におけるインヴィテーション表現の様態

An Empirically-Based Analysis of the Invitation in American English
山田 政美
田中 芳文
ファイル
内容記述(抄録等)
 社会言語学 (sociolinguistics) は“the study oflanguage in its social context”ともいうべきもので,それが対象とする研究頷域はきわめて広範である。応用言語学 (applied linguistics) としての社会言語学の動向は言語教育にも大きな影響を与え,1970年代以降,特に1980年代には学習者の伝達能力 (communicative competence) を養成しようとする Communicative Approach,あるいは Functional-Notional Approach の動きが盛んになってきている。例えば,Candlin (1976) はCommunicative Approach の基盤となる社会言語学の研究頷域として次のものをあげている。
(i) Studies in textual cohesion
(ii) Studies in language function
(iii) Studies in speech act theory
(iV) Studies in sociolinguistic variation
(V) Studies in presuppositional semantics
(Vi) Studies in interaction analysis
(Vii) Studies in ethnomethodology and face-to-face analysis
(Viii) Studies in ethnography of speaking
(iX) Studies in process analysis
(X) Studies in discourse analysis
これらの中でも個々の発話行為 (speech act) や言語機能 (language function) についての研究や談話分析 (discourse analysis) の頷域での研究はコミュニケーションを重視した言語教育に与える示唆が大きいと思われる (Borkin and Reinhart 1978,Fraser 1981,Manes and Wolfson 1981,Wolfson 1983,山田 1982b,など)。
 我が国の英語教育においても,最近では青木・田中 (1985) のような試みや,検定教科書 (高等学校外国語科用) の中にも言語機能を軸に編成されたものもある。しかし,重要なのは,それらの教材で提示される言語表現について言語使用の面からの検討がどれだけなされているかということであり,この点で社会言語学の果たす役割は大きい (山田1977, 1978,1980;田中1985a,1985b)。本稿では,発話行為のひとつであるinvitation の表現について若干の検討を試みる。