島根大学教育学部紀要

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島根大学教育学部紀要 57
2024-02-01 発行

昭和16年『自然の観察』に見られる動植物や身のまわりの自然の観察と動物の飼育・植物の栽培の特徴

The Characteristics of the Observation of Living Things and Neighboring Nature, Breeding of Animals, Cultivation of Plants Looked at by "Shizen no Kansatsu"(1941) 
保田 真理恵 北海道北見市立高栄小学校
栢野 彰秀 島根大学学術研究院教育学系
ファイル
内容記述(抄録等)
本稿の目的は『自然の観察』(1941)において、動植物の観察・飼育・栽培がどのように位置づけられているかを視覚的に明らかにすることである。そこで『自然の観察』に記載された目的・内容・方法に検討を加えた。同書に記載された動植物の観察・飼育・栽培の特徴をまとめると以下の3点となる。
1. 子どもの身のまわりの動植物や自然が観察の対象となる。四季の変化に応じて各学年に同じような観察を行わせながらも、学年毎に少しずつ目的が異なるように構成されている。
2. 動物の飼育については、まず、生き物を探して捕まえる活動を行う。そして、子どもたちが捕まえた生き物を学校で飼育する。このような活動を続けるよう構成されている。
3. 植物の栽培については、春と秋の活動(種まき・苗作り・苗植え・手入れ・経過を見る・収穫・種取り) と学年別の体験を関連付けながら、内容や方法が構成されている。
このように、学年が上がるごとに状況に入る学習(観察) から状況を作る学習(飼育・栽培) へとつながり、かつ後の学習は、それらを往復させながら行うよう構成されている。