Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University

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Memoirs of the Faculty of Education, Shimane University 55
2022-02-17 発行

「健康権」保障の在り方の再検討 : 東アジア諸国における学校給食を手掛かりに

Reconsideration of "Right to Health" Guarantee : Focusing on School Lunch System in East Asian Countries
KUROKI, Takahito
ARIUNJARGAL, Lkhagva
ZHANG, Lei
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本稿は「健康権」保障のあり方を再検討することを目的として、日本・中国・モンゴル・ロシア連邦の東アジア諸国における学校給食制度を対象として考察を行うものである。学校給食制度をめぐる各国の状況は、次の通りである。日本においては、戦後より教育的意義を有する学校給食を実施しており、近年では「食育」の実施が目指されている。中国では、国全体の健康状態を改善する必要性から「健康権」を保障するための取り組みの一つとして学校給食が位置づけられており、近年は教育的意義を有する学校給食に移行しつつある。また、モンゴルでは学校での軽食の提供によるさまざまな教育的な効果から、学校給食の本格的な実施が目指されている。モンゴル同様にロシア連邦においても学校での食事を提供するプログラムが実施されており、学校だけではなく学校以外の場所で学習している子どもも対象とされていることや、教育分野と他分野の連携によって学校での食事を提供しようとしている。各国の学校給食制度の動向からは、国民の健康状態を改善することを目指して学校給食を実施してはいるが、「健康」の捉え方や学校給食の位置づけは異なる状況となっている。学校給食は健康に生きるための栄養状態の維持だけではなく、ウェルビーイングの実現の両立を企図する機能を持つものである。このような学校給食は、教育において「健康権」を保障していくための重要な役割を担うものでもあり、学校教育という場に限定されない保障のあり方を考えていくことが必要である。これから子どもの権利を保障するための教育を志向していくためには、「教育を受ける権利」と「健康に生きる権利」の両立をどのように捉えていくのかを検討する必要があるといえる。
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