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ID 5100
タイトルヨミ
チュウガクセイ ノ ヨウジ フレアイ タイケン ガクシュウ ニ カンスル ケンキュウ
日本語以外のタイトル
The Study on Experience Learnings That Junior High School Students Have Relationships with Infant Children
ファイル
言語
日本語
著者
藤原 由美子
猪野 郁子
内容記述(抄録等)
近年,青少年による事件が相次いでマスコミで報道されている。2000年には17歳による事件が問題となった。たとえ犯罪とならなくとも,自分の殻に閉じこもってしまったり,家族や周囲との人間関係を上手く保てなかったりと,昨今の青少年に,自己認識の不足や他者理解や他者との関係性の認識が希薄化しつつある状況がうかがわれる。1998年の教育課程審議会答申における中学校技術・家庭科の改善の基本方針の中には「家庭の在りかたや家族の人間関係,子育ての意義などの内容を一層充実すること」が示されている。これらのことを念頭に多くの学校現場では「幼児ふれ合い体験学習」が実施されてきた。新教育課程での時間数削減という状況の中においても,なお「実施したい」とする学校は多く,その効果が期待されているところである。これまでに「幼児ふれ合い体験学習」については,大路・松村らが乳幼児体験は保育の情意面の学習に効果があると,中村らは体験回数が多いほど幼児イメージは向上し,幼児を好きでない生徒も体験後は好きと答えるものが増加すると報告している。しかし,一方で体験による問題点もないわけではない。多くの生徒が乳幼児体験でポジィティブな影響を受けている中で,乳幼児と接することで疲れを感じ,ネガティブな感情を持つ生徒がいることである。大路・松村らは,同じ乳幼児体験を行ってもなぜ生徒によって,このように学習効果が違うのかを明らかにするため,「幼児ふれ合い体験学習」中,ビデオカメラで撮影した生徒の行動と幼児との交流経過を分析している。その結果,対児感情(本研究の「対幼児感情」とほとんど同意)のよい生徒とよくない生徒の行動には違いが見られ,対児感情がよくない生徒は体験中,幼児との関わりが少なく,効果的な学習を行っているとはいえないと述べている。しかし行動がともなわなくても,なんらかの精神的な効果はあるのではないだろうか。
本研究においては,体験前と体験後の幼児に対する意識の変化に注目し,統計学的手法によって分析していくこととする。
また,新教育課程において家庭科の時間が削減されることにより,「幼児ふれ合い体験学習」を学校や地域の諸事情で取り入れることができない場合を想定し,ビデオを用いた間接体験における効果についても同じく検証していくものとする。伊藤は「保育学習におけるフィルム視聴には,生徒の子どもへの興味を高めることができる」と報告しているが,この研究は直接体験の効果とは比較されておらず,「子どもへの興味」についても「あなたは子どもに興味がありますか」という一項目のみを調査したものであったことから,本研究においては,より詳しく調査し,比較,分析していくこととする。
掲載誌名
島根大学教育学部紀要. 教育科学
36
開始ページ
27
終了ページ
35
ISSN
0287251X
発行日
2002-12-01
NCID
AN0010792X
出版者
島根大学教育学部
出版者別表記
The Faculty of Education Shimane University
資料タイプ
紀要論文
部局
教育学部
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