島大言語文化 : 島根大学法文学部紀要. 言語文化学科編

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島大言語文化 : 島根大学法文学部紀要. 言語文化学科編 6
1998-12-25 発行

名詞的トートロジーの構造

The Structure of English Nominal Tautology
平井 昭徳 現代英語構造論研究室
ファイル
a007006h009.pdf 3.2 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
NPi-be-NPiの形を取る名詞的トートロジーは、その形式の単純さとは裏腹に、非常に多くのことを伝達する。たとえは、War is warであれば、(状況により)「戦争では悲惨なことが起こるのが常である。戦争とはそういうものだから、今問題になっている惨事を嘆いてみてもはじまらない」というような内容を伝える。このような複雑な伝達内容は、いったいどこから来るのだろうか。Grice流の会話の含意による捉え方によれは、その表現が「協力の原則」、とりわけ「量の原則」に抵触していることを契機に、聴者の推論を通して発話の状況から引き出されることになる。しかし、Warという言葉から、その発話が「戦争」についての陳述であるということが分かったところで、それだけの情報から推論のみによって、上に見るような複雑な伝達内容に到達することは極めて困難と思われる。
本稿の目的は、英語の名詞的トートロジーの理解がいかにして可能になるのかを明らかにすることである。具体的には、先行研究としてWierzbicka(1987)とFraser(1988)を取り上げ、その検討を通してNPi-be-NPiという表現形式が伝える意味晴報を突き止める。そして、聴者がその意味情報をもとに実際の発話を解釈する際、どのような知識が大きく関わっているのかを指摘にしたい。
NCID
AA11147571