島根大学法文学部紀要. 文学科編

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島根大学法文学部紀要. 文学科編 8 2
1985-12-25 発行

程度副詞 Rather の語法

'On the Usage of Rather as a Degree Adverb'
ファイル
a003000802h001.pdf 1.39 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
現在,ratherは程度副詞の一つとして幅広く用いられているが,英語の歴史においてその用法を発達させたのは比較的最近のことである。
原義的には,先行する「時」を表すのに用いられ,‘sooner’の意味を表していた。これがやや抽象的意味に発展し,個人の選択に関して用いられるようになり,二つのとるべき行動や物事,人物などについて,一方が優先することを表し,‘more willingly or preferably’の意味となった。そのもつ比較級の意味から,thanと相関関係をもつ構文で用いられていたが,than以下が省略された形でも現れ,比較の対象が文脈に委ねられるといった結果になった。そのため,ratherの意味が少し莫然としたものになっていき,そして,ratherの直接修飾するものが,特に形容詞や副詞の場合には,自然と程度副詞として、‘somewhat’の意味を表す方向へとたどっていったのである。
この時期は,だいたい十八世紀の半ばと考えられ,原級の形容詞を修飾する例は,OEDでは,1776年が初出となっている。
(1)It would be rather inconvenient for you at present to have you rent roll scrutinised.
  ――Mrs.F.Sheridan,Sidney Bidulph,IV.65.
本稿では,こうした歴史的変遷をたどって確立したratherの程度副詞としての用法に絞って考察し,その統語的特徴や文脈における効果などを浮き彫りにしていきたい。
具体的には、まずratherの程度副詞における位置を明らかにし,その一般的な特徴をとらえていく。さらに,ratherが,形容詞,動詞,名詞を修飾する場合について,実例も踏まえて詳しく考察していくこととする。
NCID
AN00108081