島根大学法文学部紀要. 文学科編

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島根大学法文学部紀要. 文学科編 12 2
1989-12-25 発行

代名詞の束縛について

On Pronominal Binding
遠藤 喜雄
ファイル
a003001202h002.pdf 1.26 MB ( 限定公開 )
内容記述(抄録等)
英語においては,通例,(1)のように,単一節内に二つの同一指示の名詞句が生じた場合,二番目の名詞句に,himself,herselfといった照応表現が用いられる。
(1)a.John threw the smokescreen around himself.
                      (Lees and Klima(1963)).
   b.John transferred the book from himself.
しかし,次にみられるように,(1)の文と表面的には類似した,名詞句十動詞十名詞句十前置詞十名詞句という連鎖を持つにもかかわらず、前置詞が場所,方向,随伴などの意味を表わす場合,同一指示の二番目の名詞句に代名詞が用いられる。(cf. Spangler(1970),Murata(1984))
(2)a.John threw the newspaper behind him.
   b.John pushed the book away from him.
本稿の目標は,こういった,代名詞の束縛にかかわる構文の特質を明らかにするところにある。この目標を達成するために,まず,第一節において、問題の構文についての先行研究を検討し,その問題点を指摘する。次に,第二節において,この代名詞の束縛にかかわる構文はいくつかのタイプに分けられ,それぞれ独自の特質を持つことを明らかにする。そして,それらのタイプ全般にある一般化が成り立つことを示す。
NCID
AN00108081