Memoirs of the Faculty of Law and Literature

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Memoirs of the Faculty of Law and Literature 8 2
1985-12-25 発行

へーリアントにおける不定詞の使い方について

Uber den Gebrauch des Infinitivs im Heliand
Ojima, Kazuyoshi
File
a003000802h009.pdf 974 KB ( 限定公開 )
Description
不定詞はもともと定動詞の補足語(目的を表わすAkk.)として使用され,行為や出来事等を示してきた。しかし、不定詞それ自体はその活動の主体(主語)を必ずしも明示しているわけではないので,主体が何であるかということが問題になってくる。例えば,volo dicereとvolo te dicereの二文を見るとき,前者の不定詞の主語は定動詞のそれと一致し,後者の主語は定動詞の主語とは一致しなく,Akkで書かれたtuである。これを古代ザクセン語(as.)に翻訳するとすれぱ,Ik uuilliu seggian.(又はIk uuilliu,that ik seggiu).Ik uuilliu,that thu sagis.となり,不定詞の主語の違いが出てくる。このラテン語の文についていえば,問題となってくるのはdicereを支配するvoloではなく,dicereの使用の仕方が重要となってくる。ここでは,まず不定詞とその主語との関係について述べて行きたい。
不定詞そのものは,能動の意味しか持たないのであるが,解釈的には受動の意味を附加する場合がある。この不定詞はas.の受動形(uuerdan,uuesan+過去分詞)の外に,好んで使用される形である。この受動の意味を持つ不定詞について述べ,最後に不定詞の3格,いわゆるze+不定詞を取り扱いたい。
NCID
AN00108081